2020年07月16日

ローザ・ルクセンブルク/秋元寿恵夫訳『ローザ・ルクセンブルク 獄中からの手紙』

たわしの読書メモ・・ブログ539
・ローザ・ルクセンブルク/秋元寿恵夫訳『ローザ・ルクセンブルク 獄中からの手紙』岩波書店(岩波文庫)1982
 ローザの学習二冊目です。
 ローザ・ルクセンブルクの手紙は3種類あるようです。ひとつ前のルイーゼ・カウツキーの編集とこのソフィー・リープクネヒト宛の手紙、ヨギヘスへの手紙。ソフィーの方がルイーゼのより先に出たようです。
さて、ソフィーはローザ・ルクセンブルクの盟友、ローザがほとんど行動を共にしたカール・リープクネヒトの連れ合いです。夫が袂を分かったルイーゼとは違って、夫がほとんど行動を共にしたので、むしろ運動的なことが書かれてもいいのかもしれませんが、まあこの手紙は、一通を除いて獄中からの手紙なので、検閲の関係もあるのでしょうが、ほとんど運動的な話は出て来ません。
それは、訳者註5に「“Seien Sie heiter und ruhig”(おおらかな、そして落ち着いた気持ちでお過ごしください。)このことばはローザの生涯を通じて変わらなかった性格をそのまま伝えており、本書に収められている二十二通の手紙のうち、このはげましのよびかけが末尾に記されているのは九通にも上る。」113-4Pということがあり、それは手紙の中でソフィの繊細さをとらえ返し、おおらかさと落ち着いた日々を過ごすように、繰り返し提起している(97P、100P、109P)ということがあったのだと思います。
ソフィあての手紙は、カール・リープクネヒトのことを訊ねたり、ソフィの体調を気遣うような話以外は、ほとんど、花鳥風月、自然を愛でる話と、文学・絵画の話です。一カ所だけ「わたしは、いまいちどラングの『唯物論史』の読み直しをやっています。この本は、わたしをつねに勇気づけ、気持を新たにさせてくれています。あなたもぜひ一度、これをお読みになられるよう、節におすすめいたします。」90Pと運動関係の本を薦めている箇所があります。これとて、むしろそういう関係のほんのことも書かないと、排除しているという雰囲気になるから書いているというニュアンスをわたしは抱いていました。できるだけ暗い話をしないようにしています。例外は荷役でムチ打たれる水牛の話でしょうか?92P
花鳥風月の話はルイーゼ編集の本にも、植物図鑑や鳥類図鑑を差し入れてもらったという話もあり、ローザの自然と対話しながら、そのふれあいを楽しむ生き方にもつながっているのですが、「こうしてわたしは、自分の部屋から四方八方に細い糸を張りめぐらし、何千という大小さまざまの生きものに直接結びつき、あらゆることに対して、不安、苦痛、自己非難をもって反応するのです。」109Pということにつながっています。
ローザは革命の闘士であり、そして「訳者あとがき」で書かれている、レーニンの「鷲は鶏よりも低く飛ぶことができる。だが鶏は鷲ほど高く飛ぶことはできない。ローザはいろいろと誤りをおかしたにもかかわらず。なお依然として鷲であったし、また現在も鷲である。」136-7Pの評価や、ローザに会った片山潜の「火のような女だった」という話137Pがあります。
ですが、ひとつ前の読書メモのルイーゼには自分の弱さも若干出しているのですが、ソフィーにもルイーゼと同様頼みごとをしているのですが、その内容は主に文学的なことでむしろ頼み事をすることによって、そのひとが他者とのふれあいを維持していく、自分のやりがい・生き甲斐のようなことを見出していく、しかも対等な関係を作って行こうという働きかけになっています。
ローザは不屈さと同時に、ひとりひとりに向き合って、そのひとの抱えている問題、思いをとらえ返し、その中で関係を取り結び、表的なことだけでない、裏からの関係の取り結び方をしていく、実に細やかな気遣いをしていく人間像がこの手紙の中に表れています。それが闘いの理論の中にも息吹いているのだとも思えます。


posted by たわし at 03:32| 読書メモ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする